症状について
膝とは膝関節のことで、主に曲げる、伸ばすという単純な動きのみの関節ではありますが、立ったり、歩いたりする際に体重を支える働きをするなど、その役割は非常に重要です。
このように荷重関節であるため、加齢に伴って関節が変形してしまうこともあれば、スポーツや労働等による使い過ぎで障害が起きる(膝に痛みや腫れ、動かしにくい 等)というケースも少なくありません。
膝の症状に関しては、一過性のこともありますが、軟骨や半月板、靭帯に損傷があれば、医療機関において速やかな診療が必要となります。
膝の痛みや腫れがずっと続いている、膝の曲げ伸ばしがうまくいかないなどの症状があれば、速やかに医療機関で診察を受けられるようにしてください。
ちなみに膝関節の異常で最も多いといわれているのが、原因が思い浮かばないものの、主に運動開始時に痛みがみられやすいとされる変形性膝関節症です。
以下の症状に心当たりがあれば、
一度ご受診ください
- 歩行時に膝が痛くなる
- 立ち上がろうとすると膝に痛みが出る
- 階段を昇降する際に膝が痛む
- 正座やしゃがむ等の動作を困難に感じる
- 膝を曲げたり伸ばしたりするのがしんどい
- 膝に腫れがみられる
- 膝に水が溜まっている
- 膝関節を動かすと音が聞こえる
- 膝が引っかかっている気がする
- 膝が突然動かなくなるときがある
- 膝がぐらついたり、力が抜けたりする感覚がある
- 膝のお皿より下の部分で痛みがある など
膝に痛みがあるとなれば、変形性膝関節症をはじめ、半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、感染性関節炎、膝蓋腱炎など様々な可能性が考えられます。
患者さまの訴えや現れている症状のみでは、原因を特定することが困難なこともあるので、そのような場合はレントゲン検査や超音波検査(エコー)による画像検査を行い、必要に応じて連携医療機関でのMRI検査もご案内するなどして総合的に判断します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることで、膝の痛みや腫れ、骨の変形などが生じる状態です。
原因が明確でない一次性と、関節リウマチや半月板損傷、骨折などが原因となる二次性に分けられます。一次性では、加齢や肥満などが関係すると考えられています。
初期には、立ち上がりや歩き始めなど、動作を開始した際に膝が痛むことがあります。進行すると動作中も痛みが続くようになり、膝の腫れや水がたまる、曲げ伸ばしがしにくくなるなどの症状が現れます。重症化すると安静時にも痛みが生じ、膝の変形によって歩行が困難になることもあります。
治療は保存療法が基本です。肥満がある場合は減量を行い、杖などを使用して膝への負担を軽減します。また、膝関節周囲の筋力を高める運動療法などのリハビリテーションも行います。
痛みが強い場合には、NSAIDsやアセトアミノフェンなどの薬物療法、ヒアルロン酸やステロイドによる関節内注射を行います。
保存療法で十分な改善がみられない場合には、関節温存術や人工膝関節置換術などの手術療法を検討します。
半月板損傷
半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある三日月状の軟骨組織です。膝に加わる衝撃を吸収したり、関節を安定させたりする役割があります。
この半月板が、加齢による変性や日常生活での負担、スポーツ中に膝を捻るなどの外傷によって損傷・断裂した状態を半月板損傷といいます。
主な症状は、膝の痛みや腫れ、曲げ伸ばしの制限、膝が引っかかるような感覚などです。損傷の程度によっては、膝が動かせなくなる「ロッキング」が起こることもあります。
治療は、損傷の程度に応じて保存療法または手術療法を行います。軽度の場合は安静にし、装具やサポーターで膝を固定します。痛みに対しては、NSAIDsやアセトアミノフェンなどの薬物療法を行います。
また、大腿四頭筋など膝関節周囲の筋力を高める運動療法も重要です。
保存療法で改善がみられない場合や、ロッキングを繰り返す場合には、損傷部位の切除や縫合などの手術療法を検討します。
各種靭帯損傷
靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を安定させる役割を持つ組織です。膝には前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの主要な靭帯があり、スポーツ中の接触や転倒、交通事故などによる強い外力によって損傷することがあります。また、ジャンプ後の着地や急な方向転換など、接触を伴わない動作で発症することもあります。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯は膝関節の中央にあり、脛骨が前方へずれるのを抑えて膝を安定させる靭帯です。バスケットボールやスキーなどで、ジャンプ後の着地、急停止や方向転換をした際に損傷することがあります。
受傷時に断裂音を感じることがあり、その後、膝の痛みや腫れ、曲げ伸ばしの制限などが現れます。時間が経つと痛みが落ち着く一方で、膝くずれや不安定感が生じることもあります。
治療は、受傷直後にはRICE療法を行い、必要に応じて装具で膝を固定します。その後、膝の筋力や可動域を改善し、再発予防につなげるリハビリテーションを行います。
スポーツへの復帰を希望する場合や、膝の不安定感が強い場合には、靭帯再建術などの手術療法を検討します。
後十字靭帯損傷
後十字靭帯は、脛骨が後方へずれるのを抑える働きをする靭帯です。膝を曲げた状態で膝の前面を強く打つことで損傷し、交通事故やスポーツ中の接触などが原因となります。
前十字靭帯損傷と比べて、痛みや腫れ、膝の動かしにくさが軽いことも多く、症状が落ち着いてから膝の不安定感が現れる場合があります。
治療は、装具やテーピングなどで膝を固定し、症状が落ち着いてから大腿四頭筋の筋力強化や可動域を維持するリハビリテーションを行います。
靭帯の完全断裂や強い不安定感が残る場合には、靭帯再建術などの手術療法を検討します。
内側側副靭帯損傷
内側側副靭帯は膝の内側にあり、膝が外側へ開くような動きを抑えて関節を安定させる靭帯です。膝の外側から強い力が加わることで損傷し、ラグビーなどの接触スポーツやスキー、転倒、交通事故などが原因となります。
主な症状は、膝の内側の痛みや腫れです。症状が落ち着いた後に、膝の不安定感が残ることもあります。
治療は、受傷直後にはRICE療法を行い、軽度の損傷であれば装具による固定とリハビリテーションを行います。大腿四頭筋などの筋力を高めながら、徐々に膝の機能を回復させていきます。
損傷が重度の場合や、半月板など他の組織も損傷している場合には、手術療法を検討します。
外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯は膝の外側にあり、膝が内側へ曲がるような動きや横方向からの力を抑える働きをします。スポーツ中の接触や交通事故などで、膝の内側から強い力が加わることで損傷することがあります。
主な症状は膝の外側の痛みや腫れで、受傷後しばらくしてから膝の不安定感が現れることもあります。また、外側側副靭帯は単独で損傷することは少なく、十字靭帯や半月板などを同時に損傷する複合損傷もみられます。
外側側副靭帯のみの損傷で不安定感が軽度であれば、装具による固定とリハビリテーションを行います。
十字靭帯や半月板などの複合損傷を伴う場合や、膝の不安定感が強い場合には、靭帯再建術などの手術療法を検討します。
オスグッド病
オスグッド・シュラッター病とも呼ばれ、成長期の10~15歳頃に多くみられるスポーツ障害です。特にサッカーやバスケットボール、陸上など、走る・跳ぶ・ボールを蹴る動作の多いスポーツをしている子どもに起こりやすいとされています。
成長期は骨が十分に成熟していないため、膝下にある脛骨結節に繰り返し負荷が加わることで、骨が徐々に突出し、腫れや圧痛、運動時の痛みなどが現れます。
オスグッド病は成長期に起こる骨端症のため、成長が進んで骨端線が閉じると、多くの場合は症状が落ち着いていきます。
治療は、膝への負担を減らすことが基本です。運動時に痛みがある場合は運動量を調整し、必要に応じてNSAIDsなどの痛み止めを使用します。
また、予防や再発防止のために、大腿四頭筋などのストレッチや運動後のアイシング、サポーター(オスグッドバンド)の使用なども行います。